生成AI研究室(39) CPUとマザーボードを替えて、同じ条件で測り直した——2枚挿しの8ステップは6.5%、20ステップは17%短くなった。PCIe 4.0だけの効果とは言えない(RTX 5060 Ti 2枚化の記録・続々)

生成AI研究室(39) CPUとマザーボードを替えて、同じ条件で測り直した
組み直した後のデスクトップ。ASUS A31ケース、天面に360mm水冷、側面に吸気ファン3枚、RTX 5060 Ti 16GBが2枚
測った機体。第37回で組み直した後の姿

第37回でCPUとマザーボードを替え、第38回で「帯域は仕様上2倍、生成時間が縮むかは次回」と書きました。測りました。第30回(10月21日)と同じ条件・同じseedで、同じAPIグラフを流しています。

目次

先に結論

  • 2枚挿し(H3VM)の8ステップ: 518秒→485秒、6.5%短縮。 1枚(H3VMなし)は1,106秒→1,080秒、2.4%短縮。
  • 2枚挿しの20ステップ: 10秒は1,198秒→990秒(17%短縮)、15秒は2,156秒→1,842秒(15%短縮)。
  • 負荷中のPCIeは両GPUともGen4 x8でした。第38回で「基板の印字からx8のまま」と読んだとおり。
  • 2枚の方が1枚より縮み幅が大きい。第38回の「帯域が効くのは、2枚が生成中にやり取りする仕事」という読みと向きは合っています。
  • ただし、PCIe 4.0だけの効果とは言えません。 替えたのはCPU(コア数も10→8)、マザー、電源、水冷、ケース、吸気。全部まとめての前後です。

1. 何を同じにしたか

項目内容
解像度・尺0.6MP(672×928)・10秒・24fps
サンプラーEuler / simple・denoise 1・video shift 12 / audio shift 3
モデルRef2VA int8_convrot・テキストエンコーダ Qwen3-VL 32B nvfp4_awq
LoRATurbo 8step LoRA 強度1。人物・武闘LoRAは無効
参照静止画2枚(10月21日と同じ画像)。動画・音声参照なし
2枚挿しH3VM DUAL_QUIET・参加率100%・dual VAE無効。10月21日に直した2ファイルがそのままであることをハッシュで確認
1枚同じグラフからH3VMノードを外したもの
ソフトComfyUI 0.36.0 / Python 3.13 / PyTorch 2.13+cu130。更新なし・BIOS変更なし
APIグラフ10月21日のものを再利用。差分はH3VMノードの有無・接続先・保存名だけ
時間の定義ComfyUIの実行履歴の開始〜完了(モデル読み込み・生成・VAE・保存を含む。キュー待ちは含まない)。ノードキャッシュは無効
旧構成(10月21日)新構成(10月30〜31日)
CPUCore i9-10900K(10コア)Core i7-11700K(8コア)
マザーボードROG STRIX Z490-E GAMINGROG STRIX Z590-E GAMING WIFI
負荷中のPCIeGen3Gen4 x8 / x8(実測)
GPURTX 5060 Ti 16GB×2同じ2枚
メモリDDR4 64GB同じ(16GB×4・2666)
電源・冷却・ケース旧全部交換(第37回)

同じにできなかったこと: モデルの常駐やOSのキャッシュが温まっているかどうか(cold/warm)は統制していません。旧構成の値は10月21日の各1回です。

2. 結果

同じ条件・同じseedでの前後(秒)。1枚8ステップ10秒 1,105.8→1,079.6秒(−2.4%)、2枚8ステップ10秒 518.0→484.6秒(−6.5%)、2枚20ステップ10秒 1,198.1→989.8秒(−17.4%)、2枚20ステップ15秒 2,156.3→1,841.9秒(−14.6%)。旧 i9-10900K+Z490-E(Gen3)、新 i7-11700K+Z590-E(Gen4 x8/x8)

8ステップ・10秒(同じseed)

旧構成新構成短縮
1枚(H3VMなし)1,105.8秒(18分26秒)1,079.6秒(18分00秒)2.4%
2枚(H3VM)518.0秒(8分38秒)484.6秒(8分05秒)6.5%

新構成で3つのseed(8ステップ・10秒)

seed1枚2枚1枚÷2枚
A(上と同じ)1,079.6秒484.6秒2.23
B1,062.4秒507.2秒2.09
C1,046.9秒482.3秒2.17
中央値1,062.4秒(17分42秒)484.6秒(8分05秒)2.19

同じseedを3回繰り返した統計ではなく、違う3つのseedでの1枚/2枚の対比較です。2日に分けて測っています。

20ステップ・2枚(同じseed、各1回)

条件旧構成新構成短縮
0.6MP・10秒1,198.1秒(19分58秒)989.8秒(16分30秒)17.4%
0.6MP・15秒2,156.3秒(35分56秒)1,841.9秒(30分42秒)14.6%

Turbo LoRAを入れたまま20ステップを回す、第30回と同じやり方です。20ステップの方が良い絵になるという話ではなく、重い条件での時間の前後です。

3. なぜ2枚の方が縮んだのか(断定はしない)

第38回で、2枚挿しの帯域が効くのは「2枚が生成中に結果をやり取りする仕事」だと書きました。H3VMのattention並列はまさにそれで、1枚の仕事はGPU1枚の中で閉じます。今回、1枚は2.4%、2枚は6.5〜17%。向きはその読みどおりです。

ただし、理由をPCIe 4.0に絞ることはできません。CPUが替わり(第10世代10コア→第11世代8コア、クロックとキャッシュも違う)、チップセットとの道(DMI)もx4→x8になり、電源と冷却も替わっています。「同じ条件で測ったら、これだけ縮んだ」までが今回の事実です。

進捗表示から読んだサンプリング部分だけの概算では、1枚が16分24秒→15分44秒(約4%)、2枚が6分34秒→5分53秒(約10%)で、総時間と同じ向きでした。

4. 資源と温度

実行GPU0 / GPU1 VRAMGPU0 / GPU1 温度RAMコミット
1枚・8ステップ12.4GiB / 0.3GiB68℃ / 29〜32℃43〜46GiB60GiB
2枚・8ステップ12.7GiB / 12.1〜12.9GiB69〜71℃ / 60〜62℃46〜49GiB100〜101GiB
2枚・20ステップ・10秒12.8GiB / 13.2GiB72℃ / 63℃46GiB102GiB
2枚・20ステップ・15秒15.3GiB / 13.9GiB71℃ / 54℃46GiB105GiB

約10秒間隔で採った最大値です。15秒ではGPU0が15.3GiBまで上がり、16GBのほぼ上限。今回は完走しましたが、この上に解像度や尺を積める余裕があるとは言えません。電力の最大は1枚で181W/23W、2枚で182W/90W(初回の採取)。

CPUの温度は測れていません。 温度の取得元(LibreHardwareMonitorなど)が動かず、記録なし。第37回のBIOS画面の27℃は起動直後の値で、負荷中の値ではありません。GPUが72℃以下で完走したことだけで、CPUの熱が安全だとは言わないでおきます。

5. 絵の注意

6本とも映像(H.264)と音声(AAC)があり、全区間のデコードに問題はありません。5秒・9秒・14秒の静止画を見て、全面の白濁や黒画像(第30回で直した症状)は出ていません。

同じseedでも、1枚と2枚で構図・顔・ボールの位置は変わります。初回の9秒のコマでは、1枚の方は手前の球が2個に見え、2枚の方は顔の上が画面外。10秒・20ステップの9秒では帽子の上が切れています。全編の動きの自然さと音声は、まだ評価していません。時間の記事であって、画質の記事ではありません。

言えること、言えないこと

  • 言える: 同じ条件・同じseedで、2枚挿しの8ステップは6.5%、20ステップは15〜17%、1枚は2.4%縮んだ。負荷中のPCIeは両GPUともGen4 x8。
  • 言える: 2枚の方が縮み幅が大きい。第38回の読みと向きは同じ。
  • 言えない: 縮んだ理由がPCIe 4.0であること。CPU・DMI・電源・冷却も替わっている。
  • 言えない: 新構成でCPUが安全な温度で回っていること。測れていない。
  • 次回: CPU温度を取れる状態での負荷測定。cold/warmをそろえた反復。0.8MPや15秒超えの余裕。

まとめ

  • 板とCPUを替えて、2枚挿しは6.5〜17%、1枚は2.4%縮んだ。
  • 効いた先は「2枚がやり取りする仕事」。向きは仕様の読みどおり。
  • ただし、原因を1つに絞らない。全部まとめて替えた前後の数字。
  • 15秒・20ステップはVRAM 15.3GiBで、16GBの上限が見えた。

環境: Windows 11・RTX 5060 Ti 16GB×2・Core i7-11700K・ROG STRIX Z590-E GAMING WIFI・DDR4 64GB・ComfyUI 0.36.0。旧構成の値は第30回(10月21日)。数字は実測早見表にも載せます。

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