生成AI研究室(37) 生成中に落ちたデスクトップを、CPU・マザーボード・水冷・ケースで組み直した——RTX 5060 Ti 2枚化の記録(続)

生成AI研究室(37) 生成中に落ちたデスクトップを、CPU・マザーボード・水冷・ケースで組み直した

10月24日の夜、RTX 5060 Ti 16GBを2枚積んだデスクトップで、15秒の動画を生成していました。Blenderで作った参照動画を渡す、いつもの条件です。途中で電源ボタンが点滅し、画面が消えました。再起動しようとしても、電源ランプが点きません。

ここから4日で、電源→マザーボード→CPUの順に疑い、CPU・マザーボード・水冷・ケースを替えて、10月28日の夜に起動しました。原因はCPUです。そう言い切れる理由も含めて、試した順番と結果をそのまま書きます。

目次

先に結論

  • 電源を替えても、同型の中古マザーボードに替えても、最小構成(電源とメモリを最小・SATAを全部外す)にしても、起動しなかった。旧CPUは別の同型マザーボードでも動かなかった。
  • 第11世代のi7-11700KとZ590-Eに替えたら起動した。電源・マザーボード・周辺を順に消していって残ったのはCPUだけなので、原因はCPU。
  • ついでに、空冷→360mm水冷、ケースをASUS A31に、側面に吸気ファン3枚。GPU2枚で混み合っていた筐体内の熱の逃げ道を作り直した。熱が原因かどうかは分からない。
  • 副産物: CPUが第10世代→第11世代になり、CPU直結のPCIeが3.0から4.0に。2枚挿しの帯域は倍になる(生成時間が縮むかは次回の実測)。

1. 何が起きたか

日時事象
10/24 夜15秒・0.6MP・参照動画つきの生成中に、電源ボタンが点滅→画面がブラックアウト
直後再起動を試みるが、電源ランプが点かない。ファンも回らない

第20回で「ファンが一瞬回って止まる」症状を経験していますが、今回は一瞬も回りません。

2. 切り分け——電源、マザーボード、最小構成

切り分けの写真6枚。GPU2枚と空冷クーラーで混み合った旧筐体、CPU補助電源の刻印、GPUを外した所、旧CPUを露出させた所、空冷クーラーの受熱面、切り分け用の板にCPUを載せてグリスを塗った所

順に疑って、順に替えました。

順疑ったものやったこと結果
1電源新しい電源(Thermaltake TOUGHPOWER PF3 1050W)に交換変わらず
2マザーボード同型の中古 ROG STRIX Z490-E GAMING(8,520円)を急遽購入して載せ替え変わらず
3周辺最小構成: 電源のケーブルを最小、メモリを最小、SATAを全部外す変わらず
4CPU旧CPU(i9-10900K)は、別の同型マザーボードでも起動しない残るのはCPUだけ

写真は、その途中のものです。GPU2枚と空冷クーラーで混み合った旧筐体、CPU補助電源の刻印の確認、GPUを外した所、旧CPUを露出させた所、空冷クーラーの受熱面、切り分け用の板にCPUを載せてグリスを塗った所。この時点ではまだマザーボードを疑っていて、CPUが悪いとは思っていませんでした。

3. 判断——第11世代と、Z590-E

旧CPUは第10世代(i9-10900K)。替えるなら1世代新しい第11世代(i7-11700K・中古)にしました。理由は2つ。LGA1200で同じソケットなこと、そしてCPU直結のPCIeが3.0から4.0になることです。

ここで板の選び直しが要りました。第11世代を同型のZ490-Eで使うには、BIOSを2021年4月以降の版(2103以降)に更新する必要があります。手元に動くCPUがない状態での更新は、USBからのBIOS FlashBackに頼ることになり、最近の版は先にMEファームウェアの更新も要る。失敗したときの戻し方がない状態で、これは避けました。

代わりに、第11世代を最初から載せられる ROG STRIX Z590-E GAMING WIFI(中古29,800円)にしました。CPU直結のx16スロットが2本で、第11世代ならPCIe 4.0のx8/x8。M.2が4本(1本は第11世代専用)。背面にFlashBackボタン。急遽買ったZ490-Eは、切り分けに使っただけで本番には載せていません。

旧構成新構成
CPUCore i9-10900K(第10世代)Core i7-11700K(第11世代)
マザーボードROG STRIX Z490-E GAMINGROG STRIX Z590-E GAMING WIFI
CPU直結PCIe3.0 ×16(2枚挿しは3.0 ×8/×8)4.0 ×16(2枚挿しは4.0 ×8/×8)
CPUクーラー空冷ASUS PRIME LC 360 ARGB(360mm水冷・天面)
ケース旧ケースASUS A31(天面360mm・側面と底面に120mm×3ずつ・GPU380mmまで)
追加ファン—Prime MR120 REVERSE ARGB ×3(側面・吸気)
電源Thermaltake TOUGHPOWER GRAND RGB 1200WThermaltake TOUGHPOWER PF3 1050W Platinum
メモリDDR4 16GB×4=64GB同じ(そのまま)
GPURTX 5060 Ti 16GB ×2同じ
SSD旧SSD同じ(Windowsもそのまま起動)

4. 熱の逃げ道を作り直す

組み直す前と後。前はGPU2枚と空冷クーラーで混み合った旧ケース、後はASUS A31に天面360mm水冷と側面吸気ファン3枚

左が組み直す前、右が組み直した後です。

旧筐体は、GPU2枚と大きな空冷クーラーで、CPUまわりに空気の通り道がほとんどありませんでした。GPUを2枚積んでいる方の写真を見ると、CPUを水冷にしている例が多い。「筐体内に熱がこもって、CPUが傷んだのではないか」という仮説を立てて、今回は冷やし方ごと替えました。

  • CPUは360mmの水冷(ラジエーターは天面に排気)。
  • ケースはASUS A31。天面に120mm×3、側面に120mm×3、底面に120mm×3、背面に1つ。
  • 側面に吸気のリバースファン3枚(羽根の向きが逆で、外から見て羽根側が見える吸気用)。
  • GPU2枚の間と下に空間ができた。

熱が原因だったかどうかは、分かりません。旧構成で温度を記録していなかったからです。新構成では、生成中のCPU・GPU温度を記録して、次回に書きます。

5. 起動

ROG STRIX Z590-E GAMING WIFIのBIOS画面。Core i7-11700K 3.60GHz、DDR4 65536MB、CPU温度27℃、AIOポンプ3033rpm

10月28日22時17分のBIOS画面です。Z590-E GAMING WIFI・BIOS 1801、11th Gen Core i7-11700K @ 3.60GHz、メモリ65536MB(Micron 16GB×4・DDR4 2666)。CPU温度27℃、マザーボード27℃、CPUコア電圧1.048V。AIOポンプ3033rpm、CPUファン872rpm、ケースファン581/572rpm。

1つだけ引っかかりました。最初、BIOSの「NVMe設定」に No NVMe Device Found と出て、SSDが見えない。別のM.2スロットに差し替えたら認識しました。Z590-EはM.2が4本あり、1本(M.2_1)は第11世代専用、CPU直結とチップセット経由が混ざっています。どのスロットに挿すかで見え方が変わる、と覚えておくと、同じ所で止まらずに済みます。

Windowsは旧SSDのまま起動しました。

6. 部品表

価格は購入時点(2026年10月)のAmazonの表示で、中古は個体で変わります。

部品製品価格
CPUIntel Core i7-11700K(中古)29,980円
マザーボードASUS ROG STRIX Z590-E GAMING WIFI(中古)29,800円
CPUクーラーASUS PRIME LC 360 ARGB11,918円
ケースASUS A3110,480円
ケースファンASUS Prime MR120 REVERSE ARGB 3個入5,030円
電源Thermaltake TOUGHPOWER PF3 1050W Platinum19,818円
グリスARCTIC MX-4 4g800円
切り分け用ASUS ROG STRIX Z490-E GAMING(中古・本番には不使用)8,520円

本番に載せた7点で107,826円。CPUとマザーボードの中古2点でその半分強です。

※商品リンクはAmazonアソシエイトのリンクです。

言えること、言えないこと

  • 言える: 電源を替え、同型のマザーボードを替え、最小構成にしても起動しなかった。旧CPUは別の同型マザーボードでも起動しなかった。CPUとマザーボードを第11世代とZ590-Eに替えたら起動した。
  • 言える: 原因はCPU。電源(2台)、マザーボード(2枚)、メモリ・SATA(最小構成)を順に消していって、残ったのがCPUだけだからです。旧CPUそのものを新しい板で試してはいませんが、切り分けの結果として他に残る候補がありません。
  • 言えない: なぜCPUが傷んだか。熱を疑っていますが、旧構成の温度の記録がありません。
  • 次回: 早見表と同じ条件(0.6MP・10秒・8ステップ・参照2枚)で生成時間を前後比較し、PCIe 4.0の効きと、生成中の温度を記録します。

まとめ

  • 生成中に落ちて電源が入らないとき、電源→マザーボード→最小構成の順に消していく。全部消えて残ったらCPU。
  • 第11世代に替えるなら、Z490はBIOS更新が要る。動くCPUが手元にないなら、最初から載る板(Z590)の方が安全。
  • 2枚挿しは熱がこもる。替えるなら、冷やし方ごと。
  • M.2が複数ある板は、SSDが見えなければスロットを替えてみる。

環境: Windows・RTX 5060 Ti 16GB×2・Core i7-11700K・ROG STRIX Z590-E GAMING WIFI・DDR4 64GB・ASUS A31。参照: 第19回、第20回、実測早見表。

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