錬金学総論(58) MiniMax H3のLoRA一覧——高速化・入れ替え・カメラ・人物・絵柄の6分類に、作者公表値・Xの反応・当方の実測を並べた

錬金学総論(58) MiniMax H3のLoRA一覧 アイキャッチ

前回(57)でH3の本体(ベース・量子化・派生)を一覧にした。今回はその上に足すLoRAの側。Hugging Faceの「minimax-h3 lora」検索と、Comfy-Orgの配布フォルダ、当方のX引用台帳(10月〜11月)から、名前が出回っているものを6つの用途に分けて表にした。

表の読み方を先に書いておく。

  • サイズはHugging Faceの現物のファイル容量(2026年11月7日時点)。同じ「LoRA」でも130MBから11GBまで幅があり、これはランク(学習した差分の太さ)と方式の違い。
  • ベースはFL2VA(最初と最後のコマから生成)かRef2VA(参照画像・動画から生成)か。LoRAはどちらか一方で学習されていることが多く、逆に載せると効かないか崩れる。
  • 作者公表は配布ページに書かれた推奨の強度・ステップ・トリガー語。Xの反応は当方が引用した投稿のいいね数と表示数。当方実測は当方のデスクトップ(VRAM 16GB×2)で実際に焼いた結果で、書いていないものは未検証。
  • 「効く」「効かない」の評価は、作者公表とXの反応と当方実測を分けて書く。混ぜると何を根拠に言っているか分からなくなる。
図1: H3向けLoRAの6分類と代表的な名前。左上の高速化系だけがほぼ全員に関係し、残りは用途ごと
目次

1. 高速化(ステップを減らす)

H3は既定で20〜28ステップ。ここを4〜8ステップに落とすLoRAが最も使われていて、当方も毎回載せている。系統が3つある。

名前配布元サイズベース作者公表Xの反応当方実測
Turbo FL2V 4step v1.0 / 8step v1.0LightX2V(Comfy-Org/MiniMax-H3のlorasフォルダに同梱)各1.96GBFL2VA強度1.0・4または8ステップ・768p—8step v1.0を強度1.0で常用。顔・手が保てる
Turbo Ref2V 4step v0.1同上1.96GBRef2VA4ステップ—未検証
Turbo Ref2VA 8step v1.1 / 4step v1.1LightX2V(lightx2v/Minimax-h3-Turbo)1.96GBRef2VA10/20更新引用10/21: 更新告知を引用(表示183)v1.0からの差し替え候補のまま未検証
Turbo LoRA v4(step600 EMA)larryvrh/MiniMax-H3-Turbo-Lora0.78GBT2VA(文字から音声付き動画)4ステップで約5倍速、静止・小さな動きに強い、速い動きは6〜8ステップ推奨HF 1.23k likes・205k DL未検証(当方はFL2VA/Ref2VA中心)
FastH3 Dense 4-step(v2・8step版あり)FastVideo/FastH3-Comfy本体同梱型(pruned bf16/int8)FL2VA4〜8ステップ—固定ページの早見表に記載
TaoMate 3step(Robert1212star / CZMartin22 / Kijai rank19)各作者2.48GB / 1.24GB / 182MBFL2VA3ステップ—(26)で実測。静止場面向き、ダンスの手がぼやける
PTD 8step / 4steptaobao-content-ai/MiniMax-H3-PTD-LoRAs—Ref2VAステップごとに別の低ランク差分を当てる「per-hop」方式。普通のLoRAローダーでは読めず専用ノード引用あり(10月)未検証
PTD + RefAsymOPD 8step / 6steptaobao-content-ai/MiniMax-H3-PTD-RefAsymOPD-LoRAs11.11GB / 8.31GBRef2VA同じ方式。背景の自然さと鮮明さを改善と公表10月の告知投稿が106いいね・6,000表示未検証
Pika H3 Flex(fl2va v1 / ref2va v1)Pika-Labs(Comfy-Orgのlorasに同梱)各1.96GBFL2VA / Ref2VA6ステップ・参照12入力まで・480p/768p10/29〜31に実測報告が複数(RTX 4090で224秒、12GB機で約2倍速など)未検証

補足: 高速化LoRAの「速い」はステップ数の話で、1ステップあたりの時間は変わらない。注意計算の側を飛ばすVeda(スパースアテンション)やLightVAE(軽いVAE)は別の層の高速化で、重ねて効く。(26)に当方の組み合わせ実測がある。

2. 編集・入れ替え(人物差し替え・消去・視点変換)

Ref2VAの「参照を見て生成する」性質を使い、元動画の一部を別のものに置き換える系統。10月以降いちばん話題が多い。

名前配布元サイズベース作者公表Xの反応当方実測
Character Swap V1 / V1.5akatz-ai/MiniMax-H3-Character-Swap-LoRA各155MBRef2VA(int8ベース+Turbo 8stepと併用が公式レシピ)強度1.0。動画の指定人物を参照画像のキャラに差し替え。SAMでマスク。「V1.5が全ての場面でV1より良いとは限らない」と明記10/23の差し替え作例が378いいね。HF 727 likes・142k DL未検証
Person Remover V1akatz-ai/MiniMax-H3-Person-Remover-LoRA160MBRef2VA人物をSAM 3.1で追い、緑マスクにして背景を再生成。実験的と自認HF 94 likes未検証
Viggle Remake(edit / swap)Viggle/Viggle-RemakeComfyUI用 各3.77GB(低ランク版 1.34GB / 0.67GB、本体に焼いた int8版 21GB)Ref2VA動画と一文の指示で、衣装・天候・出演者の差し替え。MCPでエージェントから操作する前提。12GB機まで対応と記載11/5公開。当方11/7引用未検証。(53)PINOCと同じViggle社
CrossView Warp v1Cseti/MiniMax-H3_Ref2VA-LoRA-CrossView-Warp_v10.60GBRef2VAトリガー語 crossview・強度0.8。元動画と深度ワープの2本を入れて、別の視点から同じ場面を生成HF 86 likes未検証
Openjutsu(アプリ)Comfy-Org/comfy-openjutsu—Ref2VA + SAM 3.1 + Qwen3-VLLoRAではなく、人物差し替えを1つにまとめたアプリ。10/26発表引用あり未検証

補足: この系統は「LoRA単体」より「マスク生成+参照+ループ処理」のワークフロー側が本体で、作者もSAMとRelayのノード一式を前提にしている。LoRAのファイルだけ取ってきても動かない。

3. カメラ・動き・物理

名前配布元サイズベース作者公表Xの反応当方実測
360 Orbitpablodawson/MiniMax-H3-360-Orbit-LoRA155MBFL2VA同じ画像を最初と最後に置き、時間を止めてカメラが1周。768×768・73コマ・28ステップ・強度1.0。学習データは人物の3DGSを回したもの28本引用(11/4): 63いいね・3,365表示。HF 594 likes未検証。(52)の3アングル(Blender側で回す)と逆の発想
Camera MotionJojocodex/minimax-h3-Camera-Motion-lora160MB(1000歩版・3000歩版)FL2VAトリガー語 camera motion を先頭に。強度0.8〜1.0、1.2超で不安定。9種の運鏡で55本の例文を同梱HF 88 likes未検証
Spatial PhysicsJojocodex/minimax-h3-spatial-physics-lora160MBFL2VA物の衝突・積み重ね・落下。強度0.3〜0.5(作者は「訓練中で安定していない」と明記)HF 141 likes未検証
VBVRLiconStudio——物の一貫性と動作の論理、意図しない物の重複・めり込みを減らす10月の紹介投稿が148いいね・6,648表示未検証
Better Human Motion(固定ページ掲載)————固定ページに記載

4. 人物・表情・アクション

当方が実際に常用している系統。ダンスと格闘の動画が主戦場なので、ここだけは実測がある。

名前配布元サイズベース作者公表Xの反応当方実測
Realism Peoplefal/MiniMax-H3-Realism-People-LoRA130MBT2V / I2V / R2V共用トリガー語 r34l1sm。同じseedで19組の前後比較を公開HF 541 likes・111k DL強度0.60で常用。肌と表情が落ち着く
Facial Realism CloseUp / Natural Face & Speech(固定ページ掲載)————固定ページに記載
Weapon CombatJOKER141/MiniMax-H3-Weapon-Combat-LoRA160MBFL2VAトリガー語 BUNNYHF 47 likes強度0.45で使用。武器の持ち方が安定
Wushu v5 / v7 / v8Jojocodex—FL2VA武術の型v7がHF 90 likesv5〜v8を固定ページに記載。v7のHFページは11/7時点で見つからず(移動の可能性)
GunFu(固定ページ掲載)————固定ページに記載

5. 絵柄・画像側

名前配布元サイズベース作者公表Xの反応当方実測
P-H3-Image(LoRA版)Pika-Labs2.0GBH3本体に足して画像を出す8ステップ・8MPで学習(2MP/4MPは顔と手に粗が出やすいとcomfyui-wikiに記載)11/6引用: 407表示・462表示VRAM 16GBで動作。(55)で4MP・8ステップ・1枚94〜141秒、12枚のキャラシート
スタイル系 3本(low-poly / hand-drawn / retro-toon-70s)KennethFal————未検証
studio-1939 old animationlovis93——1930年代アニメ調HF 88 likes未検証
Lineart AnimeDiffSynth-Studio ほか——線画アニメ調—未検証

補足: 絵柄LoRAはH3でもまだ数が少ない。(51)(56)で試した「Seamless Anime VAE」は、LoRAではなくデコーダ側で絵柄を変える別の手段。

6. 補助(本体に載せるLoRAではないもの)

名前に「LoRA」と付くが、H3の動画モデルに載せるものではない。混同しやすいので分けておく。

名前配布元何に載せるか中身
Prompt Rewriter LoRAlightx2v/MiniMax-H3-Prompt-Rewriter-LoRAQwen3.6-27B(文章モデル)短い指示をH3向けの構造化プロンプトに書き直す。H3本体には載せない
Singularity V2 パッチLoRAKijaiH3派生「Singularity」派生モデルの差分をLoRA形式(rank 351)で配布したもの
Fun ControlNet UnionComfy-Org(model_patches)H3本体(モデルパッチ)姿勢・深度などの条件付け。LoRAローダーではなくパッチローダーで読む
H3-to-LTX adapterNVlabs(Sol-H3)—H3の出力を別モデルへ渡す変換。(57)参照

まとめ——何がどう効くか、根拠の種類ごとに

  • 当方実測で効いた: Turbo FL2V 8step v1.0(強度1.0)、Realism People(0.60)、Weapon Combat(0.45)、P-H3-Image LoRA版(16GBで動作)。
  • 当方実測で向き不向きが出た: TaoMate 3step(静止向き、ダンスの手がぼやける)。
  • Xの反応が大きい: Character Swap(378いいね)、360 Orbit(63いいね・3,365表示)、PTD+RefAsymOPD(106いいね)、VBVR(148いいね)、Pika H3 Flex(複数の実測報告)。
  • 作者自身が「まだ不安定」「全場面で良いとは限らない」と書いているもの: Spatial Physics、Person Remover、Character Swap V1.5。これは欠点ではなく、公表の仕方として信用できる印。
  • 普通のLoRAローダーで読めないもの: PTD系(専用ノード)、Fun ControlNet(パッチ)。

次に当方で試す順は、①Turbo Ref2VA 8step v1.1への差し替え(常用の更新)、②360 Orbit(3アングル(52)との比較)、③Character Swap V1.5(参照ダンサーの差し替え)。結果は個別の回にする。

ライセンスの注意

H3本体と、その上で学習したLoRAの多くは MiniMax H3 Community License の下にある。米国・EU・英国・韓国は標準許諾の対象外とされており、商用利用は配布元の条項を確認する必要がある。LoRA単体に別のライセンス(MITなど)が付いていても、ベースの条項は消えない。

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