生成AI実験室(21) 機材を買う前に、15秒を1本1.2ドルで——MiniMax H3をAPIで48本作った記録

生成AI実験室 第21回 機材を買う前に、APIで試す。15秒1本1.2ドル・48本の記録

この連載では、動画生成AIの MiniMax H3 を、手元のMacやデスクトップ、時間で借りるクラウドのGPUで動かしてきました。今回は、そのどれも使わない道の記録です。機材を持たず、MiniMax の公式のAPIに文章を送り、できた動画を受け取ります。料金は、作った秒数の分だけです。

当方は商社勤務の会社員で、エンジニアではありません。2026年8月から9月にかけて、この方法で48本を作りました。かかったお金、待ち時間、最初に詰まった所、できないことを、台帳の数字で書きます。「動画生成を始めたいが、いきなり十数万円の機材を買うのは怖い」という方の、判断の材料になればと思います。

目次

まず、1本見てください

MiniMax H3 の公式APIで生成した15秒(768P・音つき)。人物はAI生成です。加工はしていません。

この1本の条件は、次のとおりです。

項目内容
送ったもの日本語の文章だけ(152字)。画像は渡していません
設定768P・16:9・15秒
待ち時間4分25秒
費用1.20ドル
できた動画1344×768・24コマ/秒・15.08秒・ステレオの音つき

送った文章の全文です。当方の画面に登録してある、いちばん基本の定型文です。

夏の夜、川沿いの土手。淡い水色に紫陽花柄の浴衣の日本人女性が欄干にもたれ、夜空に上がる花火を見上げる。花火の光が横顔と浴衣を照らし、色が刻々と移り変わる。風で後れ毛が揺れる。カメラは横からゆっくりドリーイン。実写映画風、シネマティック、暗部の階調が豊か。環境音は花火の破裂音と川のせせらぎ、遠くの虫の声。

浴衣の色と柄、欄干、見上げる横顔、花火の光で色が変わること、横から寄っていくカメラ。書いたことは、そのまま出ました。15秒のあいだ、顔も変わっていません。音は、花火と川の音が入っています。ただし、この1本は音が小さめでした。同じ日に作った別の2本は、もっと大きい音で出ています。

かかるお金

料金は、動画の長さ1秒ごとに決まっています。2026年10月13日に、公式の料金ページで確かめた値です。

画面の大きさ1秒4秒6秒10秒15秒
768P0.08ドル0.32ドル0.48ドル0.80ドル1.20ドル
2K0.13ドル0.52ドル0.78ドル1.30ドル1.95ドル

長さは4秒から15秒まで、1秒きざみで選べます。料金ページには、このほかに MiniMax-H3-Max という別の型(480Pで1秒0.05ドル)も載っています。当方は使っていないので、ここでは値段だけを書いておきます。

請求について、当方の記録で分かったことが2つあります。

  • 請求は、頼んだ秒数で決まります。 6秒を頼んだ動画は、実際には6.58秒の長さで届きました。請求は、6秒ぶんの0.48ドルでした。
  • 押す前の見積もりと、請求は合っていました。 当方の台帳の合計は、次の表のとおりです。
条件本数費用の合計
768P・15秒34本40.80ドル
768P・6秒6本2.88ドル
768P・4秒6本1.92ドル
2K・15秒2本3.90ドル
合計48本49.50ドル

2026年8月16日から9月10日までの、9日ぶんの記録です。試した文章は40通りでした。

もう1つ、始める前に知っておきたい点があります。料金は前払いです。先に残高を入れて、そこから引かれていきます。入金は、1回25ドルからです。

MiniMaxの入金の画面。1回の入金額は25ドルから9999ドルまで、と書かれている
入金の画面(2026年10月13日)。1回の入金は25ドルから、と書かれています。

25ドルは、768Pの15秒なら20本ぶんです。「1本だけ試して1.2ドル」とはいきません。この画面には、場所によっては税が加わることがある、という注意書きもあります。

待ち時間

文章を送ってから動画が届くまでの時間です。当方の48本の記録です。

条件本数待ち時間
768P・4秒6本2分20秒〜5分00秒
768P・6秒6本2分15秒〜2分55秒
768P・15秒34本3分54秒〜7分32秒(真ん中の値は約4分半)
2K・15秒2本8分32秒〜10分21秒

短い動画でも2分強はかかりました。15秒にしても、待ち時間は2倍弱です。3本を同時に送ったときも、断られずに3本とも届きました。

当方の手元の機材では、15秒の動画に、デスクトップ(RTX 5060 Ti)で十数分、Macでは2時間から10時間かかっています(第17回)。作り方も画面の大きさも違うので、何倍という比べ方はできません。ただ、「数分で届く」ことと、「自分の機材をまったく使わない」ことは、APIならではでした。

最初に詰まった所: APIキーの種類

最初の1本は、エラーで止まりました。

MiniMax には、月額の定額プランと、使った分だけ払う従量課金があります。APIを使うための鍵(APIキー)も、それぞれ別です。当方が最初に用意したのは、定額プランのほうのキーでした。これを使うと、「このプランは MiniMax-H3 に対応していない」という内容のエラーが返ってきます。

キーそのものは正しいので、認証のエラーにはなりません。キーの打ち間違いを疑っても、直らない種類のエラーです。従量課金のキーを作り直し、従量課金の残高を入れたら、通りました。

  • 公式の案内にも、「MiniMax H3 を使うには、従量課金(Pay-as-you-go)のAPIを選んでください」という注意書きがあります(2026年10月13日に確認)。
  • このエラーでは、料金はかかりませんでした。動画を作る前に断られたためです。
  • 残高が0のままでも、通りません。
  • 当方の8月の記録では、国際版(minimax.io)と中国版は、アカウントも支払いも別でした。当方が使ったのは国際版です。

画面は、AIに作ってもらった

APIは、本来はプログラムから呼び出すものです。エンジニアではない当方は、呼び出しの道具と、ブラウザで使う画面を、AI(Claude Code)に作ってもらいました。

MiniMax H3のAPIを呼ぶ自作の画面。日本語の文章152字、長さ15秒、768P、16:9を選ぶと、概算1.20ドルと表示される
当方が使っている画面(自作)。文章と長さを選ぶと、押す前に費用の見積もりが出ます。MiniMax の公式の画面ではありません。

付けてもらってよかった機能は、3つです。

  • 押す前に、いくらかかるかが出る。 上の画面の「概算 $1.20」です。
  • これまでの合計が、画面の上にいつも出ている。 使いすぎに気づけます。
  • 試した文章が、条件と一緒に残る。 良かった文章を、あとで呼び出して使い回せます。

送るのは文章と設定だけなので、道具は小さなもので済みます。当方の道具は、追加の部品を入れずに動くものでした。作ってもらった道具に鍵を渡すときは、鍵をチャットに貼らず、手元のファイルに置いて読ませる形にしています。

作ってみて分かったこと

  • 短い日本語で、そのまま通じました。 英語に直す必要はありませんでした。1文だけの指示でも、動画として成り立つものが出ています。
  • 16:9を頼むと、1344×768で届きます。 正確な16:9(1.778)ではなく、少し横が短い形(1.75)です。縦長の9:16を頼むと、768×1344でした。決まった大きさで納める用途では、あとで切り抜きが要ります。
  • 長さは、頼んだ秒数より少しだけ長く届きます。 6秒は6.58秒、15秒は15.08秒でした。
  • 音の大きさは、題材でかなり変わります。 祭りの人ごみの動画は大きく、花火の動画は小さく出ました。何本かをつなぐ用途では、音の大きさをそろえる作業が要ります。
  • 画像も渡せます。 最初のコマ、最後のコマ、見た目の参考、という役割を付けて渡します。当方は、同じ人物の画像を参考として渡し、場面を変えても同じ顔で作る使い方をしています。

APIではできないこと

当方は途中から、クラウドのGPUと手元の機材に軸足を移しました。APIでは届かないことがあったためです。

  • 同じ乱数(seed)で作り直すことができません。 公式の仕様に、seedを指定する項目はありません(2026年10月13日に確認)。「この1本の、ここだけを直す」という詰め方がしにくくなります。
  • LoRAや、自分で組んだワークフローは使えません。 人物の質感を足す、手順を入れ替える、といった作り込みは、モデルを自分で動かす場合の話です。
  • 長さは15秒までです。
  • 文章の内容によっては、受け付けられないことがあります。 公式の仕様に、その場合のエラーが書かれています。
  • 作るたびに、お金がかかります。 1本は安くても、文章を直しては作る、を何十回も繰り返すと、積み上がります。当方の48本・49.50ドルが、その実例です。

APIで続けるか、借りるか、買うか

当方の記録を並べます。条件がそれぞれ違うので、「どれが何倍安い」とは言えません。「この道では、この条件で、この費用と時間だった」という記録です。

道15秒1本の費用と時間(当方の記録)始めるのに要るもの
公式のAPI768Pで1.20ドル・約4分半従量課金のキーと、入金(1回25ドルから)
クラウドのGPUを借りる(RTX PRO 6000・96GB)約1MP・20ステップで22分22秒・計算上は約0.78ドル借りるたびの環境づくり。借りてから作り始めるまでに約1時間20分かかった日があり、その間も料金は進みます
手元のデスクトップ(RTX 5060 Ti・16GB)0.8MP・8ステップで11分40秒・電気代のみGPUが約13万円から。パソコン本体は別です
手元のMac(M5・32GB)0.6MP・8ステップで2時間19分38秒・電気代のみ本体が約41万円から

クラウドと手元の機材の数字は、第17回に、条件と一緒にまとめてあります。クラウドのGPUを借りる側の入金は、公式の案内では10ドルから始められます(2026年10月13日に確認)。

いま振り返ると、当方ならこう分けます。

  • まず、自分の題材でどこまで出るかを見たい場合は、API。 環境づくりがなく、数分で結果が出ます。25ドルを入れると、15秒が20本作れます。20本あれば、自分のやりたい動画に向くかどうかは、かなり分かります。
  • seedやLoRAで作り込みたい場合、参照動画を使いたい場合は、借りる。 できることが増える代わりに、環境づくりの手間が要ります。腕に覚えのある方は、最初から強いGPUを借りるほうが、遠回りにならないと思います。当方が借りたときの記録は、第15回に書きました。
  • 毎日のように回すと決まったら、買う。 1本ごとの費用を気にせずに、直しては作る、を繰り返せます。

当方も、この順に進みました。APIで作り始めたのが8月16日、クラウドのGPUを借りたのが8月23日、RTX 5060 Ti を買ったのが9月です。

この記事の数字の限界

  • 本数・費用・待ち時間は、2026年8月16日から9月10日までの当方の台帳の値です。混み具合で、待ち時間は変わるはずです。
  • 料金と仕様は、2026年10月13日に公式のページで確かめました。変わることがあるので、始める前に確かめてください。
  • 入金の下限(25ドル)は、2026年10月13日に、当方の入金の画面で確かめた値です。
  • ドルで払うので、円での費用は為替で変わります。
  • 2Kは2本しか作っていません。画質の比べ方は、この記事では扱っていません。

連載の全体は記事マップに、機材ごとの所要時間は実測早見表にまとめています。


本記事の動画の人物はAI生成です。数値は2026年8月〜9月の当方の記録と、2026年10月13日時点の公式ページの記載に基づきます。料金や仕様は変わることがあります。利用の判断は、ご自身で最新の情報を確かめたうえで行ってください。

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