生成AI実験室(18) RTX 5060 Ti 2枚化の記録(1)——マザーボード交換の前に、「戻せること」を確かめた

生成AI実験室 第18回 RTX 5060 Ti 2枚化の記録1 マザーボード交換の前に、戻せることを確かめた

デスクトップの RTX 5060 Ti 16GB を、2枚にします。そのために、マザーボードと電源を交換します。

今回から、その作業を、起きた順に記録していきます。第1回は、部品に手を付ける前の話です。交換でWindowsが起動しなくなっても、元に戻せる状態を作りました。

当方は商社勤務の会社員で、エンジニアではありません。作業は、AIのエージェント(Codex)に一工程ずつ案内してもらいながら進めています。

先に、今回やったことを並べます。

  • Windowsの入ったSSDを丸ごと、家のNASへ保存した。約610GB、約2時間20分。
  • 保存したあと、中身を1ファイル取り出して、元と同じであることを確かめた。
  • 復旧用のUSBメモリを作り、実際にそのUSBからパソコンを起動した。
  • USBから起動した状態で、NASのバックアップと、内蔵のSSDが見えることを確かめた。
  • 途中で、画面が真っ暗になって進まなくなった。BIOSの起動メニューから入り直して解決した。

物理的な交換は、まだ始めていません。

目次

何をしようとしているのか

部品いま交換・追加のあと
CPUCore i9-10900Kそのまま
メモリ16GB×4枚(64GB)そのまま
マザーボードASUS PRIME Z490-PASUS ROG STRIX Z490-E GAMING(中古・16,980円)
電源(交換前のもの)玄人志向 KRPW-GA1000W/90+/REV2.0(1000W)
GPUASUS PRIME RTX 5060 Ti 16GB OC Edition 1枚Palit GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB を1枚足して、2枚
OSWindows 11 Proそのまま使う計画

いまのマザーボードは、GPUを挿せる長いスロットが2本あります。ただ、2本目は通り道が細く、1本目の半分の幅でしかつながりません。交換先のマザーボードは、2本とも同じ幅でつながります。CPUとメモリはそのまま使える世代の板なので、中古で探しました。

なぜ幅が大事なのか、中古の板で何を確かめたかは、次回に書きます。

足すGPUは、Palit GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB(型番 NE7506T019T1-GB2061S)です。ドスパラ限定のモデルで、16GB版の中で安かったので、これにしました。

※上記は商品リンク(Amazonアソシエイト)です。価格・在庫は変動します。

なぜ、交換の前にここまでやるのか

マザーボードを替えると、Windowsが起動しなくなることがあります。起動しても、ライセンスの認証が外れることがあります。

そこで、保険を2段にしました。

  1. 古いマザーボードと古い電源は、捨てずに取っておく。 新しい板で動かなければ、元の板に戻します。
  2. SSDの中身を、丸ごと別の場所に写しておく。 作業中にSSDの中身が壊れても、写しから戻します。

2つ目の「写し」が、今回の本題です。そして、写しは「取れた」だけでは足りません。「そこから戻せる」ことまで確かめて、はじめて保険になります。この記事の後半は、その確かめ方です。

道具選び: バックアップソフトを持っていなかった

当方は、バックアップ用のソフトを持っていませんでした。あるのは、家のNAS(Synology DS220j)だけです。

最初に考えたのは、NASに付いている機能を使うことでした。調べてもらうと、次のことが分かりました。

  • パソコンを丸ごと保存するNAS側の機能は、この機種(DS220j)では使えない。
  • フォルダを同期する機能は使える。ただし、それはファイルの写しで、Windowsを起動できる形で丸ごと戻すものではない。

そこで、役割を分けました。丸ごとの写しはWindows側のソフトで作り、NASは置き場所として使う、という組み合わせです。

ソフトは Veeam Agent for Microsoft Windows の FREE 版(13.1.1.700)にしました。追加の費用はかけていません。システムの丸ごとの写し、ネットワーク上の共有フォルダへの保存、復旧用USBからの復元に対応しています。

何を保存するか: 全部は入らなかった

パソコンの中身を測ると、次のとおりでした。

ドライブ使っている量
C(システムのSSD・1TB)約858GB
D(HDD・4TB)約218GB
G(HDD・8TB)約2.84TB
合計約3.92TB

一方、NASの空きは約1.3TBでした。使用率は82%で、NASの管理画面には容量の警告が出ていました。全部は入りません。

そこで、対象を絞りました。

  • 丸ごと写すのは、Cドライブと、起動用の領域、回復用の領域だけ。 マザーボードの交換で危ないのは、ここです。
  • DとGのデータは、ふだんからNASと同期している分で足りる、と当方が判断した。 こちらは、今回あらためて照合していません。

つまずき(1): ダウンロードの入口で、ぐるぐる回った

ソフトを手に入れる所で、思ったより時間を使いました。

  1. 公式ページで申し込みフォームを送る。
  2. メールでリンクが届く。
  3. リンクからダウンロードを押すと、ログイン画面に飛ぶ。
  4. アカウントを作る画面に進む。会社用のメールを求めるような表示が出る。
  5. 「登録を何度も繰り返しているのでは」と不安になる。

結局、公式が案内している別のダウンロードページから、落とせました。個人のメールでも、FREE版の利用には問題ない、という公式の説明も確かめてもらいました。

落としたファイルは、そのまま実行していません。先に、次の2つを確かめてもらいました。

  • ファイルの指紋(SHA-256)が、公式ページに書かれた値と一致すること。
  • ファイルの署名が、開発元のもので、有効であること。

復旧用のUSBメモリを作る

インストールが終わると、続けて復旧用のメディアを作る画面が開きます。約14.5GBのUSBメモリを使いました。

  • USBメモリの中身は、全部消えます。消してよいものかを確かめてから進めました。
  • 作成の途中で、いまのパソコンのドライバーと、ネットワークの設定を含める指定があります。初期状態のまま、含めました。
  • データの書き込みは、4分27秒でした。

ここで1つ、気にとめた点があります。USBに入るドライバーは、いまのマザーボードのものです。新しいマザーボードで、同じようにネットワークやSSDが見える保証にはなりません。

暗号化の確認

Windowsのドライブが暗号化(BitLocker)されていると、マザーボードを替えたときに、回復キーを求められます。キーが手元になければ、中身を読めなくなります。

確かめた結果、C・D・Gとも、暗号化はされていませんでした。今回は、回復キーの準備は要りません。

なお、この確認は、ふつうに開いたPowerShellでは権限が足りず、できませんでした。「管理者として実行」で開き直して、確認できました。

バックアップを取る

設定で選んだのは、次のとおりです。

項目選んだもの
方式ボリューム単位(Volume level backup)
対象Operating system を選ぶ。隠れた領域も表示する設定にして、起動用の領域(EFI System Partition)と回復用の領域(Windows RE Tools)が入っていることを見る
保存先共有フォルダ(Shared folder)。NASの中に、今回専用のフォルダを作った
自動実行切った。初期状態は「毎日0:30に実行」になっている

始める前に、NASの専用フォルダへ小さなファイルを書いて、読み戻せることを確かめました。作業中のファイルを保存し、生成のソフトが動いていないことも見ています。

結果は、次のとおりです。

項目値
開始10月10日 10時54分
終了同 13時14分
かかった時間2時間19分59秒
Cドライブから読んだ量713.3GB(平均 毎秒88.5MB)
できたファイルの大きさ約609.5GB
保存後のNASの空き(ソフトの表示)751GB

「成功」のあとに、確かめたこと

画面には、緑のチェックと「Success」が出ました。ただ、ここで終わりにしませんでした。成功の表示は、「書き終わった」という意味です。「戻せる」という意味ではありません。

確かめたのは、3つです。

  1. 中身を開けるか。 バックアップをソフトで開き、Cドライブのフォルダの一覧が見えることを確かめました。
  2. 1ファイルを取り出して、元と同じか。 小さなファイルを1つ、元とは別の場所へ取り出しました。元のファイルと指紋(SHA-256)を比べて、一致しました。
  3. 復旧用のUSBから起動して、バックアップとSSDが見えるか。 これが、いちばん大事な確認です。Windowsが起動しなくなったときに頼るのは、このUSBだからです。

3つ目で、つまずきました。

つまずき(2): 画面が真っ暗になった

USBから起動するために、Windowsの設定から「PCの起動をカスタマイズする」の再起動を選びました。本来は、青い画面で起動先を選べるはずです。

ところが、画面が真っ暗なまま、進みませんでした。

  • 3分から10分ほど待っても、黒いまま。本体のランプとファンは動いている。
  • モニターの電源を入れ直しても、黒いまま。
  • 映像のケーブルを、GPU側からマザーボード側の端子へ挿し替えると、「NO SIGNAL」。
  • GPU側へ戻しても、「NO SIGNAL」。

保存は済んでいて、復元の操作にはまだ入っていませんでした。そこで、本体の電源ボタンを長押しして切りました。USBを抜いて電源を入れると、Windowsはふつうに起動しました。

原因は、分かっていません。USBを抜くことと、起動のしかたを、同時に変えたためです。

BIOSの起動メニューから入り直す

別の道を使いました。

  1. USBを挿したまま、Shiftキーを押しながらシャットダウンする(完全に切るため)。
  2. 電源を入れた直後から、Deleteキーを繰り返し押して、BIOSの画面を開く。
  3. F8キーで、起動メニューを開く。
  4. USBメモリ(UEFIと付いた行)を選ぶ。
ASUSのBIOSの最初の画面。内蔵SSDとUSBメモリが起動先の候補に表示されている
BIOSの最初の画面(10月10日)。右側の起動先の候補に、内蔵のSSDと、復旧用のUSBメモリが並んでいる。右下に「Boot Menu(F8)」がある。

BIOSの画面で、内蔵のSSDと、USBメモリの両方が、起動先の候補に見えています。設定は何も変えていません。

BIOSの起動メニュー。Windows Boot ManagerとUEFIのUSBメモリの2行が表示されている
F8キーで開いた起動メニュー。上がふだんのWindows、下が復旧用のUSBメモリ。

下の行(USBメモリ)を選ぶと、復旧用の画面が起動しました。この選び方は、今回の1回だけに効きます。起動の順番の設定は変わりません。

復旧用の画面で、見えたもの

復旧用の画面では、復元の入口まで進み、実行はせずに閉じました。確かめたのは、次の2つです。

NASのバックアップが見えるか。 最初の画面では「バックアップが見つからない」と出ました。これは、パソコンにつながったディスクの中を探した結果です。保存先をネットワーク上の共有フォルダに切り替え、NASの場所とアカウントを入れると、今回のバックアップが一覧に出ました。

項目表示
OSWindows 11 Pro
含まれるボリュームC
種類Full
作成10時54分

内蔵のSSDが見えるか。 復旧用の画面にあるコマンドの窓で、ディスクの一覧を表示しました。情報を見るだけの操作です。

見えたもの表示
ディスク4台(4TBのHDD、8TBのHDD、約1TBのSSD、USBメモリ)
SSDの中のCNTFS・952GB・正常
起動用の領域FAT32・100MB・正常
回復用の領域NTFS・990MB・正常

最後に、復旧用の画面を終了し、USBを抜いて、Windowsがふつうに起動することを確かめました。

Windowsのライセンス

設定の画面では、Windows 11 Pro が認証済みで、「Microsoft アカウントにリンクされたデジタル ライセンスによってライセンス認証されています」と表示されていました。

ただし、このWindowsは、パソコンを買ったときに付いてきたものです。マザーボードを別の型番に替えたあとも認証が通るかは、この表示だけでは決まりません。通らなかった場合は、新しいライセンスを買うことになります。

結果は、交換のあとの回に書きます。

AIのエージェントとの進め方

今回の作業の進め方を、3つ書いておきます。

  • 一工程ずつ。 エージェントは、1つの操作を案内したら止まり、当方が画面を見せてから、次を案内します。先の画面を推測で案内しません。
  • 消す・書く・入力する操作は、当方がやる。 USBメモリを消す前には、対象と範囲を確かめたうえで、当方が「消してよい」と答えています。NASのアカウントやパスワードも、当方が入力しました。
  • 再起動の間は、別の機械で続ける。 デスクトップを再起動すると、その上のエージェントとは話せなくなります。そこで、記録をMac側のエージェントへ引き継ぎ、スマートフォンで撮った画面の写真を見せながら進めました。

まだやっていないこと、分かっていないこと

  • 実際の復元は、やっていません。 確かめたのは、「復元の入口まで行ける」ことです。
  • バックアップ全体の検査は、やっていません。 取り出して比べたのは、1ファイルだけです。
  • 新しいマザーボードで、復旧用のUSBが同じように動くかは、分かりません。 今回の確認は、いまのマザーボードでのものです。
  • 黒い画面の原因は、分かっていません。
  • NASの空きが減りました。 ソフトの表示で751GBです。同じ大きさの写しをもう1回取ると、ほぼ埋まります。

まとめ

  • マザーボードの交換の前に、Windowsの入ったSSDを丸ごとNASへ保存した。約610GB、約2時間20分。
  • 「成功」の表示のあとに、1ファイルの読み戻し、復旧用USBからの起動、NASとSSDが見えるかまで確かめた。
  • Windowsの設定からの再起動では画面が真っ暗になり、BIOSの起動メニュー(Deleteキー→F8キー)から入り直して解決した。
  • 実際の復元と、新しいマザーボードでの動作は、まだ確かめていない。

次回は、なぜマザーボードを替えるのかと、届いた中古の板で確かめたことを書きます。

この連載の出発点になった3つの機材の実測は第17回に、RTX 5060 Ti に替えたときの記録は第5回に、連載の全体は記事マップにまとめています。


本記事は、2026年10月10日の当方環境(Windows 11 Pro・Core i9-10900K・ASUS PRIME Z490-P・Synology DS220j・Veeam Agent for Microsoft Windows FREE 13.1.1.700)での作業記録です。同じ手順で同じ結果になることを保証するものではありません。部品の交換やデータの保存は、ご自身の判断と責任で行ってください。

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