前回(33)で、転がり続けたゴルフボールを新開発ノードで止めました。止まった1本をよく見ると、背景の遠景に細かい縦縞が規則的に入っています。芝の刈り込み模様ではなく、画面を縦に走る周期的な縞です。ボールの話とは関係がないので前回は触れませんでしたが、仕上げとしては気になります。
今回は、英文もseedも参照素材も一切変えず、ステップ数だけを8から20にして焼き直した記録です。続けて、2倍拡大と48fps補間まで通しました。
先に結論
- ステップ数だけ8→20。背景の縦縞はかなり目立たなくなった。生成時間は2時間55分15秒(同じ条件の8ステップは当方の実測で約76分)。
- 「変えたのはステップ数だけ」は、(33)で作った記録ノードで照合した。英文は文字単位で一致、参照素材は内容のハッシュまで一致、seed・解像度・コマ数も同じ。
- 続けて Real-ESRGAN で縦横2倍(1344×1856・29分39秒)、RIFE で48fps(485コマ・59秒)。3工程とも完走。
- 言えるのは「この1本で縞が目立たなくなった」まで。縞の原因(モデル内部か、VAEか、圧縮か)は確定していないし、一般則でもない。同じseedでもステップ数を変えれば映像そのものは変わる。
1. 縦縞とは何か

左が8ステップ版の5秒のコマ、遠景の木立と芝の境目を拡大したものです。縦に細い縞が等間隔に走っています。中央が20ステップ版の同じ場所。縞はほぼ見えなくなり、代わりに芝の刈り込み模様(斜めの帯)がはっきり出ています。右は20ステップ版を2倍に拡大したもの。
8ステップは、当方の16GB×2枚のデスクトップでもMacでも「まず動くか」を確かめるための設定で、ここまでの記事の大半はこの設定で焼いています。構図・動作・ボールの話はこの設定で十分に確かめられましたが、遠景の質感は別です。
2. 条件を1つだけ変える
ステップ数の効果を見るには、ほかを動かさないことが要ります。(33)で足した「生成条件の記録」と「完成動画の記録」のノードが、ここで効きました。8ステップ版と20ステップ版の記録を突き合わせると、こうなります。
| 項目 | 照合結果 |
|---|---|
| 元の英語・最終的に生成に使った英語 | 完全一致 |
| 参照素材 | 内容のハッシュまで一致 |
| seed | 共通 |
| 解像度・コマ数 | 672×928・243コマで共通 |
| 生成設定の差 | ステップ数 8→20 のみ |
比較用には、採用済みの英文を固定文字列として持つ別のワークフローを使い、Claude Code は呼んでいません。カメラの変更も、縦縞を消す後処理も入れていません。
3. 結果——縞は目立たなくなった。代償は時間

左から8ステップ、20ステップ、2倍拡大(24fps)、拡大後48fps。上から0秒・5秒・9秒。8ステップの遠景にあった規則的な縞が、20ステップではかなり目立たなくなっています。元の芝の刈り込み模様は残ります。
| 8ステップ | 20ステップ | |
|---|---|---|
| 生成時間(10秒・0.6MP・参照2枚・M5 Mac) | 約76分(10/20の同条件の実測) | 2時間55分15秒 |
| 背景の縦縞 | 遠景にはっきり | かなり目立たない |
| 映像の同一性 | — | 芝の色・明暗、人物の姿勢・位置に差あり。画素単位で同じ比較ではない |
同じseed・同じ英文でも、ステップ数を変えれば映像は変わります。人物が立ってからしゃがむ大筋は同じですが、顔・姿勢・位置は完全には一致しません。「8ステップの動きをそのまま保って縞だけ消した」のではなく、「同じ指示を20ステップで焼き直したら縞が目立たない絵になった」というのが正確です。
4. 仕上げ——2倍拡大と48fps補間
20ステップ版を元に、後処理を2段かけました。
| 工程 | 道具 | 設定 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 拡大 | Real-ESRGAN(x4plus) | ×4のあと×0.5、実効で縦横2倍。24fpsのまま、補間なし。CRF19 | 29分38.9秒 |
| 補間 | RIFE(v4.26 heavy) | ×2で48fps。拡大なし。CRF19 | 58.8秒 |
| ファイル | 解像度 | fps | コマ数 | 実尺 | 容量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 8ステップ版 | 672×928 | 24 | 243 | 10.125秒 | 約2.0MB |
| 20ステップ版 | 672×928 | 24 | 243 | 10.125秒 | 約2.3MB |
| 2倍拡大 | 1344×1856 | 24 | 243 | 10.125秒 | 約5.6MB |
| 拡大+48fps | 1344×1856 | 48 | 485 | 10.104秒 | 約6.1MB |
48fpsのコマ数485は、243枚の間に242枚を足した数(243×2−1)で、欠落ではありません。実尺が約0.02秒短くなるのは補間の仕様です。音声は3ファイルとも再エンコード(AAC)されていて、元のビット列そのままではありません。
拡大版は、顔・襟・手袋・靴の輪郭が整理されて見える一方、芝などに人工的な平滑化が入り得ます。原画の完全な復元ではなく、別の絵として見る方が正確です。48fps版は、抜粋した3時点では画面の破綻は見当たりませんでしたが、補間した全コマのゴーストや滑らかさを検査したわけではありません。
5. 言えること、言えないこと
- 言える: この1本では、ステップ数だけを8→20にして、背景の縦縞がかなり目立たなくなった。その代償は生成時間で、同条件の8ステップの約76分に対して2時間55分。
- 言えない: 縦縞の原因。モデル内部の発生、VAE、圧縮のどれが効いているかは確定していない。「ステップを増やせば縞は消える」という一般則でもない。
- 言えない: 8ステップ版と20ステップ版が「同じ映像」であること。同じseedでも、ステップ数を変えれば色・姿勢・位置が変わる。
まとめ
- ボールを止めたあと、画を仕上げる。英文・seed・素材をそのままに、ステップ数だけ8→20で、縦縞は目立たなくなった。
- 条件が1つしか違わないことを、記録ノードで機械的に確かめられたのが今回の土台。
- 仕上げは2倍拡大29分39秒、48fps補間59秒。3工程で約3時間半の待ち時間。
- 8ステップは「まず動くか」の設定。遠景の質感まで見るなら、ステップ数を上げる価値がある——ただしこの1本の話として。
次回は、破綻した動きを止めるもう一つの手——Blenderで動きの構造を作り、参照動画でH3を拘束する方法——を書きます。
環境: MacBook Pro M5(32GB)・ComfyUI・MiniMax H3・Real-ESRGAN x4plus・RIFE v4.26 heavy。参照: 第33回、実測早見表。

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