生成AI研究室(34) 背景の縦縞は、ステップ数で消えた——同じ英文・同じseedで8→20、そして2倍拡大と48fps補間まで

AI動画の背景の縦縞はステップ数で消えた——MiniMax H3を同じ英文・同じseedで8→20ステップ、2倍拡大と48fps補間まで(生成AI研究室34)

前回(33)で、転がり続けたゴルフボールを新開発ノードで止めました。止まった1本をよく見ると、背景の遠景に細かい縦縞が規則的に入っています。芝の刈り込み模様ではなく、画面を縦に走る周期的な縞です。ボールの話とは関係がないので前回は触れませんでしたが、仕上げとしては気になります。

今回は、英文もseedも参照素材も一切変えず、ステップ数だけを8から20にして焼き直した記録です。続けて、2倍拡大と48fps補間まで通しました。

目次

先に結論

  • ステップ数だけ8→20。背景の縦縞はかなり目立たなくなった。生成時間は2時間55分15秒(同じ条件の8ステップは当方の実測で約76分)。
  • 「変えたのはステップ数だけ」は、(33)で作った記録ノードで照合した。英文は文字単位で一致、参照素材は内容のハッシュまで一致、seed・解像度・コマ数も同じ。
  • 続けて Real-ESRGAN で縦横2倍(1344×1856・29分39秒)、RIFE で48fps(485コマ・59秒)。3工程とも完走。
  • 言えるのは「この1本で縞が目立たなくなった」まで。縞の原因(モデル内部か、VAEか、圧縮か)は確定していないし、一般則でもない。同じseedでもステップ数を変えれば映像そのものは変わる。

1. 縦縞とは何か

5秒のコマの遠景を拡大。8ステップでは縦の細い周期縞がはっきり、20ステップではほぼ見えず芝の刈り込み模様が出る。右は20ステップの2倍拡大

左が8ステップ版の5秒のコマ、遠景の木立と芝の境目を拡大したものです。縦に細い縞が等間隔に走っています。中央が20ステップ版の同じ場所。縞はほぼ見えなくなり、代わりに芝の刈り込み模様(斜めの帯)がはっきり出ています。右は20ステップ版を2倍に拡大したもの。

8ステップは、当方の16GB×2枚のデスクトップでもMacでも「まず動くか」を確かめるための設定で、ここまでの記事の大半はこの設定で焼いています。構図・動作・ボールの話はこの設定で十分に確かめられましたが、遠景の質感は別です。

2. 条件を1つだけ変える

ステップ数の効果を見るには、ほかを動かさないことが要ります。(33)で足した「生成条件の記録」と「完成動画の記録」のノードが、ここで効きました。8ステップ版と20ステップ版の記録を突き合わせると、こうなります。

項目照合結果
元の英語・最終的に生成に使った英語完全一致
参照素材内容のハッシュまで一致
seed共通
解像度・コマ数672×928・243コマで共通
生成設定の差ステップ数 8→20 のみ

比較用には、採用済みの英文を固定文字列として持つ別のワークフローを使い、Claude Code は呼んでいません。カメラの変更も、縦縞を消す後処理も入れていません。

3. 結果——縞は目立たなくなった。代償は時間

左から8ステップ・20ステップ・2倍拡大(24fps)・拡大後48fps。上から0秒・5秒・9秒の抜粋

左から8ステップ、20ステップ、2倍拡大(24fps)、拡大後48fps。上から0秒・5秒・9秒。8ステップの遠景にあった規則的な縞が、20ステップではかなり目立たなくなっています。元の芝の刈り込み模様は残ります。

8ステップ20ステップ
生成時間(10秒・0.6MP・参照2枚・M5 Mac)約76分(10/20の同条件の実測)2時間55分15秒
背景の縦縞遠景にはっきりかなり目立たない
映像の同一性—芝の色・明暗、人物の姿勢・位置に差あり。画素単位で同じ比較ではない

同じseed・同じ英文でも、ステップ数を変えれば映像は変わります。人物が立ってからしゃがむ大筋は同じですが、顔・姿勢・位置は完全には一致しません。「8ステップの動きをそのまま保って縞だけ消した」のではなく、「同じ指示を20ステップで焼き直したら縞が目立たない絵になった」というのが正確です。

4. 仕上げ——2倍拡大と48fps補間

20ステップ版を元に、後処理を2段かけました。

工程道具設定所要時間
拡大Real-ESRGAN(x4plus)×4のあと×0.5、実効で縦横2倍。24fpsのまま、補間なし。CRF1929分38.9秒
補間RIFE(v4.26 heavy)×2で48fps。拡大なし。CRF1958.8秒
ファイル解像度fpsコマ数実尺容量
8ステップ版672×9282424310.125秒約2.0MB
20ステップ版672×9282424310.125秒約2.3MB
2倍拡大1344×18562424310.125秒約5.6MB
拡大+48fps1344×18564848510.104秒約6.1MB

48fpsのコマ数485は、243枚の間に242枚を足した数(243×2−1)で、欠落ではありません。実尺が約0.02秒短くなるのは補間の仕様です。音声は3ファイルとも再エンコード(AAC)されていて、元のビット列そのままではありません。

拡大版は、顔・襟・手袋・靴の輪郭が整理されて見える一方、芝などに人工的な平滑化が入り得ます。原画の完全な復元ではなく、別の絵として見る方が正確です。48fps版は、抜粋した3時点では画面の破綻は見当たりませんでしたが、補間した全コマのゴーストや滑らかさを検査したわけではありません。

5. 言えること、言えないこと

  • 言える: この1本では、ステップ数だけを8→20にして、背景の縦縞がかなり目立たなくなった。その代償は生成時間で、同条件の8ステップの約76分に対して2時間55分。
  • 言えない: 縦縞の原因。モデル内部の発生、VAE、圧縮のどれが効いているかは確定していない。「ステップを増やせば縞は消える」という一般則でもない。
  • 言えない: 8ステップ版と20ステップ版が「同じ映像」であること。同じseedでも、ステップ数を変えれば色・姿勢・位置が変わる。

まとめ

  • ボールを止めたあと、画を仕上げる。英文・seed・素材をそのままに、ステップ数だけ8→20で、縦縞は目立たなくなった。
  • 条件が1つしか違わないことを、記録ノードで機械的に確かめられたのが今回の土台。
  • 仕上げは2倍拡大29分39秒、48fps補間59秒。3工程で約3時間半の待ち時間。
  • 8ステップは「まず動くか」の設定。遠景の質感まで見るなら、ステップ数を上げる価値がある——ただしこの1本の話として。

次回は、破綻した動きを止めるもう一つの手——Blenderで動きの構造を作り、参照動画でH3を拘束する方法——を書きます。


環境: MacBook Pro M5(32GB)・ComfyUI・MiniMax H3・Real-ESRGAN x4plus・RIFE v4.26 heavy。参照: 第33回、実測早見表。

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